数分前までカラハグを封じ込めていた結月のフォローにあたっていたため、能力を使用する力が僅かしか残っていない美琴と、200羽の化け物カラスと戦った直後にメンバーを守るための極厚鉄壁を作り出し、同じく疲労困憊の八神の二人が残りの力を振り絞っての攻撃!
ヒートランスが美琴のサイコキネシスによってスピードが加速していき、敵を貫かんと斜め上の方向から一直線に突き進む!
カラハグはその攻撃に気付いていながら何故か身動き一つしない。
両翼を失ったとはいえ遠距離からの攻撃をかわすのはカラハグにとって容易なはずであったのだが…
「ビュン!!」
「ガシィッ!!」
多くの化け物カラスを貫き焼き殺したあのヒートランスが、カラス王の強靭な右腕一本でかくもあっさり止められてしまった。
「えっ!?嘘っ!?」
「まさか…….あんな簡単に…」
現時点で使える最後の攻撃を、まるで薄い紙を片手で折るように容易く止められてしまった美琴と八神が、身体の力が抜けてしまいその場に膝を曲げて崩れ落ちた。
そんな二人の様子など気にも留めていないカラハグ。
「ほう。我ながら驚きの成長ぶりだな。溢れ出る力。それに皮膚の硬度と耐熱も飛躍的に上がっているようだ」
そう自画自賛しながら受け止めた巨大な鉄の槍を持ち直し、筋肉隆々の右腕に力を入れ槍投げの大勢をとった。
「カカカっ!我にこんなガラクタは不要。これは返しておくぞ!」
「ビビュン!!」
美琴と八神のいる家屋に向けて投げた!
「ズッガガーーーーーーーン!!!!」
放たれた鉄の槍はサイコキネシスに操られていたときの倍はあろうかというスピードで飛び、二人が非難する前に家屋を直撃して崩壊させた。
それを目の当たりにした柴門が叫び。
「てっめーーーっ!!調子に乗ってんじゃねぇぞ!!最後の一人がここにいる!かかって来いやハゲカラスーーーーーっ!!」
正にこの戦場で戦闘可能な最後の一人となった柴門がカラスを煽った。
もちろん何も考えず単に煽ったわけではない。カラハグの足元に飛鳥井が倒れているため、能力の性質上巻き込んでしまい攻撃できないからであったのだが、ただでさえ歯が立たなかった敵はより強くなっている。柴門の行為は無謀極まりないと云えた。
しかし、倒れた味方を放って逃げるような柴門ではない。命を張った一か八かの賭けに出たのである。
「カカカッ!我の恐ろしさが身にしている貴様がよくぞ言った!褒美として逃げる選択肢を与えてやるぞ!」
「いいからかかって来いや!ハゲーーーッ!!」
柴門はカラス王を遂にハゲ呼ばわりしたのだった。
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