家屋の瓦礫に降り立ったカラハグが傷んだ翼をたたみ、その場に座り込んで目を閉じる。
希少な王の細胞を持つこのカラスはが数分も休めば100%とはいわずとも、かなりの体力や傷を回復してしまうことだろう。
距離を置き、死角からジッと様子を伺っていたチャラがそろそろ攻撃を仕掛けようと動いたのだが。
突然誰かに背中をポンと軽く叩かれてピタリと動きを止める。
「チャラ、気持ちはわかるが攻撃するのはちょっと待て」
勘の鋭いチャラに気配を全く感じさせず背中を叩けるのはこの男くらいのものだろう。瞬間移動して現れた飛鳥井が今にも飛び出して行きそうなところを引き止めたのだった。
「やっぱり君か…あの三人は無事に助けられたのかい?」
「ああ、大丈夫だ。少し離れた家屋の一室に三人は寝かせてある。それより、あいつの死角に入っていても『生物探知能力』でこちらの居場所は全部掌握されている筈だ。だから単騎での奇襲は危険極まりない。散った仲間と集合して一斉にたたみかけるぞ」
「奴にはそんな能力まであるのか…わかったよ」
チャラは飛鳥井が無事に三人を助け出したことにホッとして、一度助けられている彼の言うことをすんなり受け入れた。
「よし、じゃぁ…っ!?」
「オラオラオラオラオラオラーーーッ!誰がてめえに休憩時間を与えるつったんだ!?回復なんかさせてやるかバーカ!!!」
いきなり柴門の怒鳴り声が聞こえたかと思うと猪突猛進な彼らしく、距離はあったがカラハグの真っ向から「流星ボム」を乱射していたのである。
「あの馬鹿!チャラ仕方無い行くぞ!」
「了解!超爆電気!」
一気にトランス状態になったチャラが敵に向かい猛スピードで駆け出す!
当然メンバー全員の位置を把握しているであろうカラハグがカッと目を開き素早く立ち上がり柴門の攻撃に対応する!
「クロウインパクト!!」
「シュヴァ!ヴォヴォン!ヴォヴォヴォヴォヴォン!!」
本日何発目かの強力な衝撃波によって流星ボムが一つ残らず消滅してしまった!直後!
「超雷鳴!神ちぎり!」
チャラの繰り出した技はリーベを瞬殺した時の速さを遥かに凌ぐ!
が、前回同様カラハグがカウンターの右拳を突き出した!!
その右拳を紙一重でかわしたチャラの牙が!
「ザシュッ!!」
「ガァッ!!?」
カラス王の右目を抉り取り顔の四分の一を損壊させることに成功した!
「カハッ!」
今までに体験したことの無い痛みに耐えかねたカラハグが右手で顔をサッと押さえる。
怯んだ敵の背後に突如として現れた飛鳥井が切れ味鋭い刀を振り下ろす!
「ここでしょうがーーーーーーっ!!」
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