能力によって生成した牢獄にカラハグを封じ込めてから15分が経過しようとしていた。
当初結月は初めて使う技の維持可能時間を15分と軽く見積もっていたが、実際のところ美琴のフォローが無ければ10分と保てなかったかもしれない。
女子高生にして健気にも頑張っている結月の身体は限界に達しようとしていた。
「結月ちゃんもう一踏ん張りよ!飛鳥井さん達はきっと間に合うわ!」
「う、うん……………….」
右横で自身もかなり疲弊している筈の美琴が結月を励ます。が、結月の方は相槌をうったあとの言葉も声にならなかった。
今や結月の顔いっぱいに冷や汗が滲み出ており、まるでインフルエンザにかかって40度の高熱にうなされ今にも倒れそうな病人のようである。
地上からいつの間にか屋根上に移動してスタンバッているチャラ。結月の技が切れた時の対応は上がベストと考えていたのだ。
その臨戦態勢の猫に美琴が声をかける。
「チャラ!もしもの時は頼むわよ!」
「全力で君達を守る!」
彼女達にとってチャラの存在は精神的な支えとなっていたのだが…
獄中のカラハグが不敵な笑みを浮かべる。
「カカッ!短い間だったが我の獄中生活もいよいよ終わりそうだな」
カラス王は結月の限界を察知して見逃さなかった。
「ごめん美琴さ………」
「結月ちゃん!?」
遂に全ての力を使い果たした結月の意識が途切れ、美琴がそれを素早く支える!
青白い牢獄の色が徐々に褪せていき、カラハグが結月に攻撃を仕掛けようとした瞬間!
「動くなーーーっ!!」
「ッ!?」
真上の空から突然聞こえた飛鳥井の声に、今まさにカラハグに飛びつこうとしたチャラが「ビクッ!」と反応しギリギリで動きを止める。
200羽の化け物カラスの群れを掃討した飛鳥井達が何とか間に合ったのだ!
「鉄錬金!極厚の鉄壁っ!」
「ズッォン!!!」
今度は同じ位置から八神の声が聞こえ、チャラとカラハグの数メートルしかない中間地点に、家屋表面の倍の面積で暑さが1mもあろうかという鉄の壁が一瞬にして地面から現れた!
「カァッ!?」
カラハグとて万能ではない。瞬間移動で現れた飛鳥井達に探知能力の反応が遅れ、本当に短い時間ではあったものの流石に戸惑い身体が止まる!
「吹き飛べ!カラハグーーーーッ!!」
瞬間的に硬直したカラス王に真上上空から柴門の放っていた特大光球が堕ちていく!
完全に敵の虚を衝いた容赦無い攻撃が直撃して起爆!!
「ズッ!ドォォォォォーーーーーーーーーン!!!」
コメント