迫力あるカラハグのその言いようは、結月と美琴にプレッシャーを与えたかと思えたのだが。
「お好きにどうぞ!脅しても無意味よ!でもこの牢獄が解けて次に倒れるのはあなただと予言させてもらうわ!」
「そうね。結月ちゃんの言う通りだわ。わたしたち全員の力を集結して必ずあなたをこの世界から消してあげる!」
精神力がかなり疲弊してしまっているはずの二人は、臆するどころか強気な発言で応戦した。
「クァクァクァ。そうか、それらは殊の外楽しみだ。しかしその予言が的中することは叶わんだろうがな。せめて貴様らが我の全力を引き出してくれたなら良いと思うぞ」
「……………………..」
揺らぐことのない絶対的な自信からくる言葉は二人の心を逆撫でしたけれど、もはや喋るのも無駄な浪費と考え反論するのを控え沈黙をもって応える。
そんな二人の後ろでは葵のヒーリング能力による必死の治癒にり、あの世に片足を突っ込んでいたチャラの意識が戻ろうとしていた。
「….グッ…….グルルルル….」
まだ目を開けていないチャラが喉を鳴らす。
「良かったぁ、ちゃんと回復してるわね。よし、あと一踏ん張り。いっくわよよ〜復活するのだ化け猫!」
葵が自分自身に気合を入れ、ヒーリング能力の出力を増し増し!
横たわるチャラの身体が「カッ!」と光を放ち…
パチクリと目を開いた。
そして頭だけを起こし、砕けていた顎もスッカリ回復したのか普通に口を開く。
「葵?だったかな….君が治療してくれたのか。礼を言う、ありがとう。だけど『化け猫』と呼ぶのはやめて欲しい」
どうやら喉を鳴らした時には意識が戻っていたらしく、『化け猫』と呼ばれたことがよほど気に入らなかったのか、治療にあたってくれた葵に対して苦言を呈した。
「やった〜♪身体と一緒に強気な態度も復活ね♪チャラ〜♪」
復活した喜びの勢いでチャラに「ガッ」と抱きつく葵。
「お、重い…」
「まぁ!?し、失礼しちゃうわねぇ。小柄で華奢なわたしに『重い』だなんて〜」
軽く不機嫌になった葵をよそに、結月と美琴の姿を目にした巨大猫が「ムクッ」と起き上がる。
「二人とも何やってんだ?」
前を向いたまま後ろを振り向こうともせず美琴が答える。
「復活したのねチャラ。良かったわ。でもわたし達は今は手が話せないの。説明は葵さんから聞いて」
美琴にそう言われたチャラが横にいる葵の方へ顔を向ける。
大仕事を済ませ一旦緩んでいた葵の表情が真剣さを取り戻した。
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