美琴の「サイコキネシス」による金縛り、、チャラの「超爆電気」からの「神千切り」、さらには匡の「真空崩壊砲」と波状攻撃でたたみかけ、その場に居なかった飛鳥井の瞬間移動での刀による不意打ち!
確実に一刀両断で斬り捨てられる筈であった!が!?
「ヒュン!!」
「っ!?」
空中真上から落下しながら繰り出した必殺の上段斬りは、カラハグの常軌を逸した反応と体捌きによって虚しく空を切ることとなってしまった。
「貴様が死ね」
地上へ着したばかりの飛鳥井の顔面を狙ってカラハグが右拳による殺人パンチを繰り出す!
「ヴン!」
「!?」
飛鳥井は拳が触れる直前に瞬間移動を発動させ、初めてカラハグの攻撃が空を切った。
「ヴン!」
飛鳥井の移動した先は首の骨を折られ横たわる匡のそば。
屈んで匡の鼻に手をあて呼吸をしているか確認する。
「…息はしているな。匡の自己治癒能力なら死ぬことはないか…」
「ヴン!」
あてていた手の位置を背中に変えて匡と共にまた消えた。
その様子を腕組みしたまま観察していたカラハグが感嘆したのかボソッと呟く。
「瞬間移動…便利な技だ。我も身につけたい能力だな…」
「ヴン!」
飛鳥井が二度目に現れたのは顎を砕かれ上空に飛ばされ、気絶して人形のように地上へ叩きつけられ横たわるチャラの元だった。
意識の無い巨大猫の身体はピクピクと痙攣を起こしている。
「チャラ…お前らしくない酷いやられ方をしたな。いますぐ葵さんの元へ連れてってやる」
「ヴン!」
悲しそうな表情をした飛鳥井が瀕死のチャラの身体に触れ、葵たちの居る家へと移動した。
「ヴン!」
「匡!チャラ!飛鳥井さん!二人は大丈夫なの!?」
部屋に現れた飛鳥井に向かって、結月が涙を流し叫びながら問う。
「結月ちゃん、大丈夫だ心配無い。葵さん!チャラを先に治してやってくれないか!?」
結月に安心させる言葉をかけ、緊急を要するチャラの回復を優先するよう伝えた。
「了解!でも匡君は大丈夫なの?」
チャラのそばに走り寄った葵が匡を心配して飛鳥井に訊く。
「匡は自己治癒能力で回復するから大丈夫だ。それよりその猫くんを急いでやって」
「わかったわ!…チャラ!わたしとはまだそんなに会話してないでしょ!死んではダメよ!ヒーリングMAX!」
葵の両手から目の眩むような光が放たれ、ぐったりと倒れるチャラの身体を包み込み全力の治癒が始まった。
開いた窓からカラハグを見張っていた美琴が部屋に居る全員に向けて伝える。
「あいつがこっちに飛んでくるわ!」
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