「んじゃ、開戦ということで」
「ヴン!」
飛鳥井はカラハグに交戦開始の意思を告げ、居場所を把握しているメンバーの元へ瞬間移動した。
カラス王も動く。
「クゥア~ーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
消えた飛鳥井の空間とは逆の方向を向き、至近距離で聴いたなら鼓膜が破れるくらいの大音量で叫び、距離を置いて待機していた化け物カラスの群れを呼んだ。
「ヴン!」
「やぁ」
「おっと~!?飛鳥井君じゃない!カラハグと会話してたみたいだけどどうだったの?」
二階建て家屋の二階の部屋から窓を少し開け、こっそり二人の様子を眺めていた葵、美琴、結月の女性三人。
その後ろに忽然と現れた飛鳥井に声をかけられ驚いた葵だったが、会話の内容が気になりすぐさま質問した。
「うん、まぁ、あまり楽しい会話では無かったよ。ネガティヴだけど有力な情報を一つ伝えに来た。奴は凄いスピードで進化している。特に2km先にいる生物をも感知する能力を身につけたらしい。建物に潜んでいても感知されてしまう筈だ。だからそれを理解した上で戦って欲しい」
「マジ!?」「ふ~ん」「げっ!?」
大真面目に話す飛鳥井の顔を見て三者三様に声を発したが、リアクションは一様にして驚き顔をしていた。
「分かったわ飛鳥井さん。それよ…」
「ズガァガァーーーーーーーン!!!」
美琴が飛鳥井に何かを訊こうとしたところ、屋外から突然起こった爆音によって問いかけは遮断された。
飛鳥井が部屋の窓を「ガラガラッ!」と素早く全開にして四人が外に様子を確かめる。
「何あれ!?家が何軒か全壊してる…」
外の様を見た結月が唖然として呟いた。
四人のいる部屋から数軒先の家々が、まるで局地的な大地震があったかのように崩れさり、家屋の基礎部分だけを残して無惨にも更地のような景観となっていたのである。
更地の上空にはカラハグが翼を広げ「バサバサ」と宙に浮いていた。
その目線の先には、別の家屋屋根上で戦闘大勢を取った匡とチャラの姿がある。
「あれがカラスの王って奴か…家が粉々になってる。なかなか破壊力のある技だったな…」
「油断するなよチャラ。あいつだけは流石に舐めてかからない方が良いと思うぞ」
カラハグの「クロウインパクト」をギリギリで回避し、敵の姿を確認した匡がチャラに忠告した直後。
「カラス王!強さに自信があるならオレと地上で勝負しろよ!それとも空中にいないとオレ達には勝てる気がしないか?」
巨大猫は躊躇なく敵を煽り、匡は「やれやれ」と肩を落としたのだった。
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