共に移動して来た匡、結月、チャラも戦闘に加わったことで総戦力がUP!化け物カラスの掃討は、飛鳥井の予想通りことの他早く決着したのだった。
数時間振りに二つのチームメンバーの7人と一匹が誰一人欠けることなく集結し、近くにあった公園の木陰で最終決戦に向け打ち合わせを始める。
石製のベンチに腰掛けたり石柱に身を寄せているメンバーへ向け、リーダーである飛鳥井が落ち着いた表情で語り出す。
「みんなご苦労さん。何はともあれ誰一人欠けることなく全員が無事でいてくれて俺は嬉しい」
その言葉にメンバー全員が笑顔で同調した。
カラス軍幹部四人衆を含めた総勢800羽を、7人と一匹は尽く粉砕することに成功したわけだけれど、一歩間違えば死人が出てもおかしくない状況からして、ここに全員が集結出来たことは個々の能力が優秀であり、意思疎通しながらしっかり連携を取って戦った結果であろう。
「でだ。いよいよラスボスのカラス王カラハグに挑むけれど。念のため現状で分かっていることを整理しておくよ」
メンバーの中でカラハグの姿を見たことがあるのは、飛鳥井、柴門、美琴、葵の四人。
他のメンバーは未だに接触していない。
「カラハグはカラス軍の幹部達と比べてもやはり桁外れに強い。実際に幹部達とやり合い改めて実感したんだが、奴なら今まで取ってきた俺達の作戦は回避か防御、若しくはカウンター攻撃をして来ると思われる。つまり、幹部を倒したやり方でカラハグは倒せないというのが俺の見立てだ」
黙って聞いていた八神が飛鳥井の目を見て口を開く。
「本当にそうかい?余り口出しはしたくないんだけど…今までの作戦でももしかしたら有効になり得るものもあるんじゃないかな?」
八神は鉄の錬金術である「鉄の網」作戦でカラスの大群を囲い、連携により一掃した実績があり、その有効性は大いにあるのではないかと踏んで言ったのだ。
「確かに俺は八神さんの技を実際に見たわけじゃないし話で聞いただけだけど、奴には全く効果は無いと断言できる。それだけ奴は別格なんだ…」
不名誉ではあるが、カラハグに一撃で戦闘不能にされた経験のある柴門が八神に言う。
「八神さん。飛鳥井は大袈裟に言ってるんじゃない。奴にやられたことのある俺から言わせて貰えば、まるで子供扱いされた感じだったよ。俺は負けず嫌いな性格だけど、また奴と一対一でやり合おうなんてこれっぽっちも思わない」
柴門は今やチームの特攻隊長的役割を担っている。カラハグを知るそんな彼の言葉には重みがあった。
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