僕達の世界線は永遠に変わらない [ヒートランス!]

僕達の世界線は永遠に変わらない

「ありがと八神さん!こいつでアイツらを串刺しにしてやるわ」

 正常な世界であれば周りの男性がひいてしまうような言葉を口にする美琴。
 た、頼もしいが恐ろしい…

「でもちょっと大きく作り過ぎたかもだから重量がきついかもだよ」

「大丈夫大丈夫。まぁ見ててぇ♪」

 自信たっぷりに応え舌舐めずりした美琴が、地面から生えているかのように垂直に立つ鉄の槍へ手のひらを向ける。

「ふぅ….むむむ………….」

「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ….」

 サイコキネシスの能力を発動させ、まるで鉄の槍に命を吹き込むかのに念を注ぎ、鉄の槍が横揺れの振動を起こす。

 「神の戒告」以前は女子大生にして在学中に会社を設立し、寝る間も惜しんで学業と仕事を見事に両立させ、その事業が軌道に乗ったころに世界が一変してしまったことにより、学生と社長両方の身分を失っても力強く生きようとする獅子堂美琴。

 才色兼備の彼女に宿ったサイコキネシス能力は、柴門に負けず劣らずの成長スピードでかなり強力になっていた。

 残って飛び回る化け物カラス達は、その真価を発揮する絶好の実験台となってしまうのである。

 サイコキネシスの念を込め続けられている鉄の槍が赤みを帯び始め、薄っすらと蒸気が滲み出ていた。
 

「そろそろかなぁ….飛べ!ヒートランス!」

「バシュッ!!」

 即席で「ヒートランス」と名付けられた鉄の槍が、ロケット花火を思わせるような瞬発力で地上を飛び立つ!

「す、凄い…」

「キャー!美琴かっこいい♪」

 一部始終を見ていた八神が唖然とした顔をして驚き、葵が目をキラキラさせて歓喜した。

「ビュン!!」

 スピードに乗り、熱でさ益々赤みを帯びたヒートランスが化け物カラスの群れへ一直線に飛行する!

「「「「カァカァカァカァカァ」」」」

 自分達へ向かって来る特大の槍に気付いた化け物カラス達が騒ぎ混乱しているところへヒートランスが炸裂!!!

「ズバッ!ズボォ!ズバッ!ババッ!ズボォッ!ズボォッ!ズバババッ!!」

 僅かな時間で一直線に群れの端から端を突き抜けた!

 一瞬にして十数羽の化け物カラスが命を落としたわけだが…

「これだけで終わってあげないんだから!ヒートランスは飛び続ける!いっけーっっ!!!」

 美琴が何処かの仙人が魔物を封じ込める技を使うような動作でもって鉄の槍を操る!

「グゥイン!」

 極端に速度を失った鉄の槍が急旋回し、再び加速して散りじりになった化け物カラス達を追いかけた!

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