ディクが瞬時に技の発動を終え、完全なる防御態勢に入ったがもはや匡は止まらない!
「僕の能力に防御力の概念は通用しない!忽ち消えてしまえ!真空崩壊砲!」
「カッ!バシュン!」
匡の一撃がディクの防御で構えた腕に届き、腕から身体全体を一瞬にして呆気なく消し去ってしまった!
カラス軍のグラマラスなリーベに続いて、肥満カラスにして最強防御のディクもここに散った。
名乗ることすら叶わずに…
「しゃぁっ!!!」
金星を挙げた匡が両の天に拳を突き上げガッツポーズで勝利を喜ぶ!
「バッチリでグッジョブだ匡!でも戦闘はまだ終わってないからね〜♪」
後ろから飛鳥井の声が聞こえサッと振り返ると、背後から匡を狙って攻撃しようとした化け物カラスの首を刀で一刀両断にしているところだった。
「飛鳥井さんありがとう!でもその刀は!?」
「そこの古風な家から拝借しちゃったよ♪あっ!もちろん家の中は無人だったし、ちゃんと『拝借しますね』って言ってきたから♪この刀はきっと大事にされてたんだろうね。切れ味抜群で超使い易いよ♪」
「そ、そうですか。それは良かったぁ!?」
法律効果を発揮する世界なら窃盗にあたる行為を行い、さも楽しそうに化け物カラスの首を次々に両断する飛鳥井を見て匡が微かに動揺する。
とはいえ、自分自身も今しがた人の形をしたカラスをこの世から抹殺したばかり。流石にたった二日で常識を完全には捨てられないが、食うか食われるかのこの世界では殺られる前に殺らなけれ生きて行けない。動揺して隙を作ればそれだけ死に近づいてしまうだろう。
頭でそう理解している匡は動いた!
「俺達はこんな世界でも生き続けたい!それにこれは生死を賭けた勝負!故に情けはかけない!」
「バシュン!バシュン!」
自分に言い聞かせるように言いながら、飛鳥井に負けじと化け物カラス達に消滅能力を放ち、匡も容赦なく消し去って行った。
ところで結月とチャラどうしているのか?
一人と一匹は単純だが効果的な作戦で化け物カラス達の数を減らすことに成功していた。
結月が屋根上でバリアを張って囮となり、ゴキブリホイホイのように吸い寄せられる化け物カラスをチャラがあっという間に一掃する。
一騎当千とまではいかないけれど、こんな感じでたった15分の間に彼らは200羽ほどあったカラス部隊を全滅に追いやった。
仮に匡がディクへの攻撃を失敗していればこんな展開にはならなかったかも知れないが、見事に先制攻撃を成功させ、此度の戦闘でも完全勝利をすることが出来たのである。
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