本能的に反応し大きくバックステップを踏み後退する柴門!
「もう一発だっ!」
キガイの右腕が伸び切り、難を逃れたかに見えたが宙に浮いた状態のところへ今度は左ストレートが迫る!
「やべぇっ!?」
身動きの取れない宙で防御しかないと判断した柴門が両腕をクロスさせた。
しかしこの巨大な拳から繰り出された攻撃の破壊力は相当なものであろう。下手をすれば防御に回した両腕はただでは済まないかも知れない。柴門に危機感が過ったその時!
「はっ!?」
「ビシュッ!」
「なにっ!?」
宙に浮く柴門の身体が突然弾かれるように真横へ移動し、不自然な動きにキガイが僅かに動揺する。
「ズザザザーーーッ!」
「いでっ!」
道路に投げ出され上手く着地できずアスファルトで身体を擦った。が、即座に体勢を整え立ち上がり呟く。
「サンキュー、美琴。助かったぜ」
このピンチを救ったのは柴門の想像通り、マンションの3階から密かに闘いの様子を傍観していた美琴のサイコキネシスによるものだった。
無論、呟きはした柴門だったが、目線を美琴に向け敵に気付かれるようなへまはしない。
「お前、奇妙な動きで攻撃を避けたな。まだ別の能力でも隠し持っているのか?」
あり得ない避け方をされたキガイが疑問を真っ直ぐにぶつけてくる。よく言えば純粋な思考を持った生物かも知れないけれど、このような質問をされわざわざ秘密をバラす相手もいないだろうに。やはりこの幹部カラスの頭脳は「馬鹿」がつくレベルなのかも…
「その通り!だからてめぇの攻撃はオレには容易には当たらねぇぜ!考えて攻撃するこったな!」
どちらかといえば戦略を考え戦闘するタイプではない柴門だったが、返した言葉の裏には珍しく狙いがあったものである。
大抵の敵は相手に奥の手があるとことを知れば、攻撃の際に迷いが生じて速度が鈍くなったり、手数が減少する傾向になるのではなかろうか。まぁ相手によるかも知れないが…
「カッカッ!そうかそうか。ならばこの戦闘をより楽しめるということだな!では当たるまで絶え間無く攻めさせてもらうとしよう。ブラクフェザーレイン!」
「ヴァササササササーッ!」
残念なことにキガイは敵の奥の手などを深読みして戦うタイプではなかった。
広げた黒い翼から、大量の羽根がまたもや生み出され上空に飛んで行く!
「けっ、懲りねぇ奴だな。ろくにダメージを与えられない技をどういうつもりで出したのか知らねぇが、今はこっちのターンだぜ!」
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