僕達の世界線は永遠に変わらない [籠の中の鳥]

僕達の世界線は永遠に変わらない

 キガイの適当な思いつきにより大量の羽根でできた玉の中に封じ込められている柴門。

「待ってろよ」

「キィーーーン」
 
 柴門がそう言うと、地面にポツンとある羽根の玉の中から能力を発動する音が聴こえ、玉の頂点が赤く変色していった。

「こいつまさか、ブラックフェザーボールを内部から破壊する気か?」

 いつの間にやら名もなき技だった技に命名したキガイがありきたりな動揺をする。
 そして…

「ボン!」

 赤くなった玉の頂点を音を立てて突き破り、柴門の作り出した光球が天高く飛んで行った!
 
 続けて技を繰り出した本人も跳躍して飛び出す。

「俺の有言実行にてめぇのフラグも回収してやったぜ!そんで今度こそ俺のターンな。とりあえず喰らっとけ!ヘビーボムッ!!」

 玉から空中へ飛び出した柴門が、中で準備していた左手の光球を目の前のキガイに振りかぶって投げた!

 脱出されたことで動揺しているところへ至近距離からの奇襲!
 何とか反応はしたものの、技を出して防御することも避けることも出来ないキガイが咄嗟に腕をクロスさせ光球を受ける!

「ヴォォン!」

 光球がもろに直撃しキガイを包み込むほどの爆発が起こった!

「おわっ!?やっぱ近すぎたか!?」

 5mの至近距離で自ら起こした爆発の爆風を受けた柴門が後ろへ吹き飛ばされたが、上手く体勢を整えアスファルトの道路へ着地する。

「アイロンネット!」

 倉庫の裏から二人による戦闘をそっと観ながらタイミングを計っていた八神が姿を現し、爆煙残るキガイの身体があるはずの場所へ鉄の網を仕掛けた!

 数秒後、爆煙が引いて鉄の網に捕らわれた敵の姿が徐々に見え始める。

「ちっ。やっぱあれくらいじゃ死なねぇか。でも八神さんナイスっす!」

 至近距離ということもあり、出力を抑えた攻撃だったため期待は希薄だったのだが、両腕に火傷を負った程度のキガイの姿を確認した柴門が僅かに悔しがり、機転を効かせた八神にニカッと笑いかけグッジョブサインを出した。

 ジェスチャー?に不慣れな八神がぎこちない動きでそのサインに応える。

「カーッカッカッカァ!一瞬ヒヤリとさせてもらったが、何てことのない威力で助かったぞ!……ん!?なんだこれは!?」

 抑えていた攻撃だっとはいえ、元気ピンピンのキガイが笑い飛ばしたあと周りに張り巡らされた鉄の網に気付いた。

「ハッハッハッ!やっと気づきやがったか。てめぇはもう籠の中の鳥なんだよ!だが有り難く思え!人間様がカラスを鳥籠に入れるなんてことは超超レアなことなんだからよ!」

 どちらが悪役か分からないほど悪い顔で言い放つ柴門だった。

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