「…カッ、カァー。お、お前、何か調子に乗ってないか?いいだろう。あとで吠え面かくなよ人間!ブラックフェザーラッシュ・バック!」
「吠え面かくなよ」などとフラグモード全開の冴えない言葉を吐き、キガイがようやく思いつきで閃いた哀れにも危機感を感じさせない技を披露する!
が、技を発動したにも関わらず、戦場は「シーン」と静まったまま柴門とキガイが無言で見つめ合う。
柴門は間抜けなシーンの連続にいい加減辟易とし、イライラした様子で哀れな幹部を睨みつけた。
「……てめぇ本当に幹部の端くれか?何も起こらねぇじゃないかよ」
「…….予想より遠くまで飛んで行ってしまっていたらしい。案ずるな。お前はもう死んでいる」
「何処で覚えたのか知らねぇけど、どっかの救世主みたいなこと言いやがって!
もういい、今度は俺が攻めるばばばばばばばばばばばばっ!!!???」
イライラマックスの柴門が攻撃を仕掛けようと構える寸前!背中に大量の黒い羽根が押し寄せ、無様な声を出し最後まで言い切れずに押されまくった!?
そう、ただ背中に大量の羽根が当たっただけで彼はほぼほぼノーダメージなのである。
あの圧倒的戦闘力を誇るカラス王カラハグの幹部四人衆が一人キガイ。巨体で風格ある彼との戦闘がお笑い要素ありありのコメディ的描写でいいのだろうかか!?
しかし!この度は遂に!遂に戦闘らしい動きがあったのでございます!
まずはキガイの閃き発動させた技についてなのだけれど、今しがた「ブラックフェザーラッシュ」なる技として柴門を襲い、鼻歌混じりに避けられた大量の羽根が遠方まで飛んで行き、敢えなく地球の引力の影響を受け地に落ちていたわけだが、その大量の羽根を呼び戻しただけの技が「ブラックフェザーラッシュ・バック」だったのである。
呼び戻された大量の羽根は見事に柴門を直撃し、そこで攻撃が終わったのかと思いきや、黒い羽根は不自然な動きで柴門の身体全体を包み込んだ!
つまり、彼は球状に変化した羽根の虜となってしまったのである。
「カーカッカッカー!どうだ!オレ様の適当に思いついた技は!?」
相変わらず馬鹿正直なキガイはしてやったりと普段の調子を取り戻していた。
「お喜びのところ悪いがまた直ぐに落胆することになるぜ!」
外からは見えないのだが、羽根製の玉の中から全くどうじた様子の無い柴門が籠った声で釘を刺した。
「カーカッカッ!強がりを言ってくれるもんだ!そこから出れるものなら出てみるがいい!」
…紫門は間違いなく脱出できてしまうことであろう。
コメント