繰り出された光球が時速100kmを超えるスピードでキガイを襲う!
「ブラックフェザーウォール!」
「ヴォン!ヴォン!」
だがキガイはしっかり反応し、一度柴門の技を防いだ技を即座に使いあっさりと防いでしまった。
爆煙が消えキガイが柴門の姿を捉えようとするが、技を繰り出した際に居たはずの場所にその姿は無い。
カラハグなら敵を見失った場面でも動揺など微塵もしないだろう。しかし、キガイは精神的な面に弱さがあるのか大声で叫ぶ。
「人間!何処に隠れやがったーーっ!」
叫んだ程度で隠れた相手が姿を現すなら苦労はないのだろうけど…
紫門は最初から目眩しのつもりで技を放ち、爆煙により出来た死角を突いて、尻餅をついたままの八神を抱え電波塔近くの倉庫の裏に身を潜めていた。
「ありがとう柴門君」
「礼は良い。それより今のうちに早く作戦を立てようぜ。柴門さんに何か考えはあるかい?」
少しだけ考える素振りをしたあと八神が口を開く。
「ごめん。咄嗟にこれといって思いつかないけど一つ考えがある。マンションの女性二人の存在にまだ敵は気付いてない。でも二人は常にこちらの様子を窺っている筈だ。だから二人にフォローして貰うためにもあのマンションから見える範囲で戦えば勝利はグッと上がると思う」
マンション最上階の部屋に潜んでいる葵と美琴もこの現場に出て来て共に戦えば良い。などという考えもあるだろうが、戦闘の場に二人が出てしまえば、人数が増えると同時に守らなければならないものが増え、逆に劣勢になってしまう可能性があることを危惧した八神は、このまま女性二人が隠れ、上手くフォローしてくれることを期待していたのである。
「なるほどね。んじゃ、この近辺から余り離れないようにしないとな…ところで八神さんはさっきの鉄の網を出すことが出来るか?」
「あの大きさはもう無理だけど、10分の1程度の物だったらいけると思うよ」
「なる、了解。だいぶ能力使っちまったからな。よし、俺がメインで奴とやり合うから八神さんは自分の防御に徹してくれ。あとはあの二人のフォローに期待するぜ。んじゃ行って来る」
紫門はニヤリと笑いそう言って、キガイの右サイドから攻め込めるよう小走りにその場を去った。
しかし、物陰に隠れながら移動するつもりだった柴門の思惑は外れ、動き出して5秒と掛からずキガイに見つかってしまう。何故なら、柴門の通る道には一切の遮蔽物が無かったのである。動き出す前に少しでも確かめれば良かったものを…
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